アガサ・クリスティーの最高傑作として、知らぬ者はいない、クローズドサークルの先駆け。
そして、誰もいなくなった。
読もう、読もうと考えて、約四年←笑
ようやく、僕もこの小説を語れる様になりました。
やはり、思い立ったらすぐにやらないと、人間って途方もないくらい後回しをしてしまうんですね。
まあ、そんな反省は置いておく。
この作品の凄さをわかりやすくいうのであれば、その売上だろう。
一冊だけで、一億部以上も売っている。(凄すぎる…)
ちなみに日本の小説家で一冊あたり、一億部を売った作家は未だ現れていない。(多分)
ま、僕の資料はあくまでもウィキペディアなので。
そのウィキさんによると、日本では、村上春樹の
ノルウェーの森
そして、最近、東野圭吾の
ナミヤ雑貨店の奇蹟
が1000万部を超えているが、それくらいであろう。(多分)
日本語圏内では売上では勝たないし、翻訳したとはいえ、原作の言語で織り成す文体の美しさや、深さや、面白さには到底太刀打ち出来ない。
多分、アガサ・クリスティーの真の面白さを知るには、Englishを会得しなければならないだろう。僕は一生出来る気がしない。(アメリカ行ってたけど)
僕が何故、翻訳の壁を指摘したのかというと、僕自身が、海外の翻訳した小説を実際に読んでみて、
あ、やっぱり、なんか分かりづらい。
と、率直にそう思ってしまったからであろう。
以降、僕は海外小説に苦手意識を覚えてしまった。
今考えると、その億劫さから、四年もこの小説を遠ざけてしまったのかもしれない。
そんな中、勇気を出して読んでみると、
あれ、めっちゃわかりやすい!
と、スラスラ読めてしまった。
主要登場人物は10人という多さのこの小説だが、キャラ付けが見事にされている。(翻訳のくせに←)
巻末コメントは、あの赤川次郎が手がけているが、僕も「確かに」と思ったコメントがあるので抜粋すると、
「本作の導入部のみごとな人間の書き分けはどうだろう! しかも、一人一人の個性が読者に努力強いることなく印象づけられ、混乱することがない」
原文ママ。
この、「読者に努力強いることなく混乱することがない」が最大のポイントだ。
意外と書き過ぎちゃう作家さんは多いと思う。設定を凝って作って、作ったものは、全部読者に見せたい。…当然の心理だ。
しかし、それが余計に読者を混乱させてしまう場合が多い。
特に僕なんか、漫画大好き人間なので、活字をずっと見続けるのは苦痛なのである。笑
そんな僕だからすぐに物語から脱線してしまうような説明書きや、心理描写を長々と見ると、
もういいや
すぐに投げ出してしまうのだ。
そこをみるとアガサ・クリスティーは実にシンプルで明解。
僕は本当に凄い作家とは、たくさんの語彙をつらつらと並べて、美しい文体でまとめ、かつ、一辺も余すことなく書き切る能力がある作家ではなく、
いかに、最小限の文章で、分からせるか。
この小説を読んで改めて確信したのであった。
思えば、赤川次郎の小説も読みやすい。純文学の畑の人が読んだら、幼稚で読み応えがないかもしれないが、僕には嬉しいのだ笑
アガサ・クリスティーが「永遠の目標」と本人は言っているところをみると、この「わかりやすいさを大きく参考にしたに違いない。
そして、そのわかりやすさが、英語圏外の翻訳を通しても、失っていないから、世界中から愛された要因になったかもしれないと、僕に海外小説の苦手意識を克服させてくれた、偉大なミステリー女王に傅きくなった。(嘘)
勿論、このわかりやすさもそうだが、実にプロットも構成も見事。
ラストは鳥肌ものでっせ。
兵隊島で次々と起こる連続殺人。果たして10人の運命は? 犯人はいかに?
まあ、
タイトル通り、みんな死ぬんですけどね。笑
でも、正直、個人的は、この
「そして、誰もいなくなった」
って、いうタイトルだけで、既に面白いって思っちゃいましたね。ある意味タイトルでネタバレ。
この辺の奇抜さも、アガサ・クリスティーの凄いところかもしれませんね。(多分)